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Medical food メディカルフーズ
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腸内フローラと
オリゴ糖

2.加齢と腸内フローラの変化

腸内細菌の構成と加齢の変化

腸内細菌の構成は加齢により変化することが知られています。これまでの加齢と腸内細菌に関する研究では加齢に伴い大腸菌、腸球菌およびLactobacillalesの増加やBifidobacteriumの減少が報告※1されています。一方、ClostridiumやBacteroidesの加齢にともなう増加減少については、一定の見解を得るに至っていません。腸内細菌は、大腸という限られた中で生息しているため、量のみではなく、各菌群の存在割合を評価する必要がありますが、これまでの研究では主に量について評価されており、構成割合については十分な検討がなされてきていません。つまり、 加齢に伴う腸内細菌の変化は同定できる構成菌の量の評価だけでは不十分であり、大便中の細菌叢全体の量における個々の構成菌の量の相対評価が必要と考えられます。

加齢に伴い変化する腸管免疫

また、腸管免疫は加齢に伴い変化し、抗原特異的な免疫グロブリンの反応が加齢で減衰する※2ことが知られています。腸内環境において免疫グロブリンA(lgA)は主要な型の抗体であり、腸内細菌を制御する上で重要な役割を果たすと考えられています。胎児から新生児へ、そしてさらに成長する過程すなわち加齢によって、腸内細菌は変動します。母親の子宮は無菌状態ですから、胎児の腸内には細菌はいません。したがって、 新生児の腸内にいる細菌はどこに由来するのか、多くの可能性が指摘されています。

たとえば、母親の産道、最初に接触した人間、空気中、そして母乳など複数ルートが提唱されています。新生児の腸内細菌にも変化が認められています※3。出生直後には好気性の細菌もみられますが、1~2日経つと連鎖球菌や腸球菌が出現するとされています。その後、生後1~2か月には嫌気性菌であるビフィドバクテリウムが主役となり、1年経過し離乳すると、クロストリジアやバクテロイデスがビフィドバクテリウムを超えるか、あるいは同程度まで増えます。このような傾向は成人まで続き、そして高齢期になってさらに変化します。

腸内フローラと年齢

しかし、ここで示した変化はあくまでも平均的なものであって、個人差も少なくないことを理解しておく必要があります。上記した変動は健常人の問で報告されたものです。さらに健常人の腸内フローラと特定の疾患をもった人の腸内フローラの比較についても多くの研究が行われ、アレルギー疾患や炎腸性腸疾患、そして肥満など疾病をもつ患者の腸内フローラは、健常人のそれと異なる、との報告もあります※4。加齢とともに変化する腸内フローラですが、出生時・幼児期にはビフィズス菌が優勢を占め離乳期よりバクテロイデス・ユウバクテリウム・嫌気性連鎖球菌が増加し幼児以降は、一定量が維持されます。また、 大腸菌・腸球菌も出生時・幼児期から爆発的に増殖し中高年期から増加するとともに成年後期より老年期にかけてウェルシュ菌が増加をしてビフィズス菌が減少してきます。※5【図1】

  • ※1 参考文献 Mitsuoka T:Intestinal flora and ageing. Nutr Rev 50:438,1992
  • ※2 参考文献 Delves PJ, Roitt IM. The immune system. Second of two parts. The New England Journal of Medicine,13; Vol. 343( 2), 108-17, 2000
  • ※3 参考文献 中山二郎. 乳児期の腸内フローラの偏奇と後のアレルギー疾患発症の関係について.アレルギー・免疫.17:1194,2010
  • ※4 参考文献 上野川修一. 免疫と腸内細菌.平凡社,2003
  • ※5 光岡知足. 腸内菌叢研究の歴史. 実験医学VoL 32 No.5(増刊)2014