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Medical food メディカルフーズ
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腸内フローラと
オリゴ糖

4.悪玉菌を抑制して
有用腸内フローラを築く
オリゴ糖

善玉菌を増やすオリゴ糖

オリゴ糖とは、ブドウ糖・果糖・ガラクトースなどの糖類の一番小さな分子・単糖が2~20個結合したものです。オリゴ糖の効果で最も注目されているのが、腸内フローラのバランスを改善して、整腸作用を促す効果です。オリゴ糖は腸内で善玉菌を増やすプレバイオティクスの代表選手で、特徴は熱や酸に強く人間の消化酵素では殆ど分解されないことです。小腸で消化・吸収されず、大腸に到達し、善玉菌の代表格であるビフィズス菌の増殖因子になるため、善玉菌の増殖や活性化に効果を発揮するのです。 ビフィズス菌がオリゴ糖を食べて作り出される乳酸や酢酸が腸を刺激して、ぜん動運動が活発になるとともに、腸内を酸性にして悪玉菌の増殖を抑えてくれます。ビフィズス菌の至適腸内pHは5.5と言われており、pH7.0の中性に近づくにつれて大腸菌の至適pHになります。

なぜ人間の消化酵素で分解できないオリゴ糖がビフィズス菌など特定の善玉菌だけの増殖因子になるかというと、ビフィズス菌がオリゴ糖を分解する酵素をもっている※10からなのです。母乳の中に含まれるオリゴ糖は、乳幼児のビフィズス菌を劇的に増加し免疫力を高め、病原菌から守ってくれる、非常に重要な働きをする存在なのです。このようにオリゴ糖の大きな役割は善玉菌を活性化し、腸の働きを良くすることですから、オリゴ糖の効果は善玉菌の効果と同様です。

細菌のバランスを整えるオリゴ糖

Glennらの報告※11によるとスクロースを摂取していたときの菌数をベースとし、それに対する変化量を研究【図2】したところオリゴ糖の摂取により増えている1番左の菌はビフィズス菌であるbifidobacteriaで、その右は日和見菌のBacteroidesです。腸内細菌は大きく分類して「善玉菌」と「悪玉菌」、そして日和見菌の3つが存在します。おおよそその比率は20:10:70の割合で存在しているのですが、このバランスが非常に重要で、腸内環境が安定していて善玉菌優勢ならば特に害を及ぼすことはなく、むしろ良い働きをしてくれます。しかし、悪玉菌優勢となると悪玉菌と同様の働きをするというなんとも厄介な腸内細菌です。

その他、上の2つはclostridiaとfusobacteriaで、それぞれ病原性を持つ菌が存在している悪玉菌です。この結果から、オリゴ糖を摂取することで腸内における善玉菌が増加し、悪玉菌が減少していることが分かります。つまり、悪玉菌の増殖を抑えて、腸の蠕動を促し、便秘を解消する、免疫力を強化し疾病を予防する効果が期待されます。さらに、オリゴ糖はブドウ糖と同じ糖類なのに多くのオリゴ糖は約2kcal/gと砂糖の半分のエネルギー量しかないため、 血糖上昇抑制効果も期待できます。

  • ※10 参考文献 György P, Jeanloz RW et.al. Undialyzable growth factors for Lactobacillus bifidus var. pennsylvanicus.
    Protective effect of sialic acid bound to glycoproteins and oligosaccharides against bacterial degradation.
    European Journal of Biochemistry. 15; Vol. 43( 1), 29-33, 1974
  • ※11 参考文献 Gibson GR, Roberfroid MB. The Journal of Nutrition. Vol. 125( 6), 1401-1412, 1995